
片島魚雷発射試験場跡(川棚魚雷発射試験場跡)
大崎半島の対岸に伸びた緑豊かな半島・片島には、戦争中に海軍工廠で作られた魚雷の試験が行われていた遺構が残されています。
佐世保海軍工廠や三菱長崎兵器製作所で製造された魚雷の発射試験が行われ、魚雷の最終検査や調整などをしていたのではないかと言われており、ここで合格となった魚雷が佐世保鎮守府に送られていたと考えられています。
手書きの案内表示に従って歩いて行くと、最初に目に入るのが、幅約3mほどのトンネルです。これは魚雷組み立て工場の跡で、当時は通風及び照明の為に貫通していました。長さ約100m、高さ約3.5m、幅約3mのトンネルです。現在は手前の方数mの空間が見えるだけで、奥は埋まっている様です。
トンネルを左手に見ながら、林の中へと入っていくと、右手に何かの建物の台座の様な枠組みがあります。何か関連施設の跡なのでしょうか・・・?
林の中を進み、海へ抜けると、現れました!!!
海に突き出た発射試験場と、陸地には2つの建物が残っています。神殿の様にも見える大きな建物は、魚雷発射試験場本部跡です。屋根はなく、外壁のみが残っています。
佐世保鎮守府が会長されて間もなく、海軍工廠が佐世保湾の北岸に開設された。 この工場で製造される魚雷を実地に発射試験するために 大正7年(1918年)川棚村三越郷の片島に魚形水雷発射試験場が設置された。
発射した魚雷の進行状況を頂上の観測所から観測し性能試験を行った。
太平洋戦争勃発後、昭和17年(1942年)川棚に分工廠が設置されたことに伴い、 魚雷発射場の施設がさらに拡張され、その際に片島は海峡が埋め立てられて陸続きとなった。〖現地案内板より転記〗
海上に突出した発射試験場の跡へ足を踏み入れてみました。 特に注意書きなどもない様ですので、歩いて問題ないと思われますが、自己責任で!!
以外だったのが、周囲の海が浅かった事です。海水も綺麗で、海底が見えています。小魚が泳ぐ様子がはっきり見え、また海底に無数のヒトデが見えます。遺構の片隅をカニが歩いていたりと、自然豊かな漁村の風景でした。
先端部分へと歩いて行きます。足元にはレールの跡が残っています。魚雷を運んでいた跡なのでしょう。L字に曲がった辺りは経年劣化の為か随分崩落していました。L字の曲がり角には、丸い穴のあいた四角い台座がありました。魚雷を吊り上げたクレーンの跡なのでしょうか・・・?
観測所の高い建物は、レンガ造りの上からコンクリートで固められている様で、内部のレンガが見えていました。
この魚雷発射試験場本部跡は、2015年のアニメ映画「バケモノの子」のワンシーンに使われたり、2017年には「flumpool」のミュージックビデオの撮影に使われたりと、近年脚光を浴びて(?)いるような、いないような・・・
私が訪れたときは、釣り人が一人ボートを浮かべていらっしゃいました。ゆっくりと見学して、帰路につこうと車に戻りかけたとき、観光バスが到着し、中からご年配者たちがカメラを抱えて降りてこられていました。マニアックなスポットだと思っていましたけど、そうでもない様ですね。
最終訪問日:2017.05.24.
片島魚雷発射試験場跡 アクセス
名称 | 片島魚雷発射試験場跡 |
住所 | 長崎県東彼杵郡川棚町三越郷151-1 |
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