中国軍管区司令部の防空作戦室跡

広島城 本丸跡は、明治時代から陸軍の拠点として軍事施設が整備されていきました。本丸上段には、明治10年(1877年)に広島鎮台司令部が建てられ、のちに第５師団司令部庁舎となり、明治27年(1894年)に日清戦争が始まると、大本陣が置かれました。
昭和20年(1945年)6月には、中国軍管区司令部に昇格しました。その頃、本丸下段には、司令官室や参謀部のある1号舎のほか、学徒動員された比治山高等女学校の生徒が宿泊していた宿舎や、防空作戦室がありました。

この旧防空作戦室は、暗号の解析、各部隊への通信を行っていた施設で、鉄筋コンクリートの半地下の構造物です。内部には４つの部屋が存在し、西側から情報室、通信室、指揮連絡室、防空作戦室となっていました。防空作戦室では、軍人に混じって、学徒動員された比治山高等女学校の生徒が働いていました。
昭和20年8月6日の原爆で、爆心地から約790mのこの半地下の防空作戦室も爆風で破壊されました。生き残った女生徒が、この防空作戦室の軍事専用電話を使って、広島の様子を伝えました。これが被災の第一報と言われています。