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海上自衛隊呉地方総監部「旧電話総合交換所」

呉地方総監部 ⑯ wide

海上自衛隊呉地方総監部「旧電話総合交換所」

海上自衛隊呉地方総監部の敷地内に、戦時中に造られた、崖を切り開いて建設された地下施設があります。海上自衛隊の敷地内なので、一般公開に参加して見学する必要があります。呉地方総監部の見学は、「呉地方総監部第一庁舎」とこの地下施設「旧電話総合交換所」がセットになったコースになっています。

呉地方総監部第一庁舎の裏側に回ると、海に向かって大階段があります。その大階段を下った横に地下施設の入り口があります。見学コースでは、大階段ではなくスロープを下ります。

海上自衛隊呉地方総監部の敷地内にある、「旧電話総合交換所」

大階段横のスロープを下り始めると、まず左側に石造りの水路跡の様な遺構があります。
続いてスロープ右側には、4つの屋根のついた排気口が並んでいます。これは今から向かう地下壕の換気口です。電話局として使われた地下壕は大きく、熱を持ったりガスが出たりする事があり、それを逃がすための通気口として作られました。

この左手にあるスロープを下って行く
スロープの途中にある、水路らしきもの
スロープ右手に見える4本の塔は、地下施設の通気口
地下壕の通気口
スロープから見える。こちらには地下壕があるらしい
スロープ横にもレンガ造りの建造物がある

スロープを下って行くと、大きな地下壕の入り口が見えて来ました。この地下壕入口の左横に、大階段があります。
呉海上自衛隊の地下壕の調査は、広島工業大学准教授と、呉工業高等専門学校の学生さんと准教授で行われたそうです。
地下壕の存在は分かっていましたが、史料がなく、当初は、旧呉鎮守府地下作戦室と考えられていました。しかし近年の調査で、電話総合交換所であることが分かりました。この地下壕の竣工は、昭和20年4月です。

日本海軍呉鎮守府電話総合交換所
壕口の大きな窓には鉄製の窓が付いている

日本海軍呉鎮守府電話総合交換所
太平洋戦争の後半に入ると、日本本土への米軍機による空襲が本格化し、旧海軍の拠点である呉鎮守府も度重なる被害を受けました。
このような状況の中で、軍の重要施設や軍需工場等を空襲の被害から守るために、市内や周辺地域に数多くの地下施設が建設されました。
本施設の構造として、「甲耐弾式」(おおよそ250kg爆弾又は中口径砲弾の直撃に耐える)以上の性能を想定して統計されたと考えられています。
戦時中の用途や施設名称について確定的な資料は発見されていませんが、戦後すぐに記されたとされる文献には、本施設が「呉鎮守府電話綜合交換所」と記載されています。
戦後は、昭和21年2月以降中国四国地方は英連邦占領軍(British Common wealth Occupation Force(BCOF))が進駐し、呉通信工事局第1電話交換所とBCOF通信隊司令部として使用されていました。
本施設は、平成29年から調査が行われ、一連の調査の成果に基づき、平成30年6月に日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~」の構成文化財として追加認定され、また同年9月には土木学会から選奨土木遺産にも認定れさました。

いよいよ地下壕に入ります
入壕します

爆風除けの下から入壕します。鉄製の分厚い扉が付いていて、まず小さな部屋があり、そこから各部屋に分岐しています。右側に階段が見えますので、2階構造になっている様です。
見学できるのは、かまぼこ型の一番大きな空間の入り口付近のみ。見学時に危険がない様に、立ち入り可能場所には屋根が設けられていました。このかまぼこ型の広い壕は、幅14メートル、奥行き15メートル、高さ最大6メートルの空間です。奥の鉄製の扉からは地下通路が伸びていて、第一庁舎の海側エントランス前に繋がっています。
かまぼこ型の天井や壁には、木板を並べて型枠を作り、コンクリートを流した跡が残っています。これは戦時中のコンクリート建造物に良く見られます。

入って右側を見る。階段があるという事は、2階があるようだ
この広い地下壕は、幅14メートル、奥行き15メートル、高さ最大6メートル
見学者が立ち入り可能な場所には鉄パイプで組まれた屋根が設けられていました
右奥の鉄扉から続く地下通路は、総監部第一庁舎の裏側に通じている
入口に近い方の壁。窓の様な開口部がある

かまぼこ型の地下壕には、右手側に隣室と繋がる開口部の窓があります。見学者が立ち入れるスペースにも開口部があったので、覗いてコンクリートの分厚さを確かめます。
かまぼこ型の天井や壁には無数のボルトがあります。

今回は見学できませんでしたが、この地下施設には、中央の広いかまぼこ型の部屋以外に、幾つかの部屋があります。

隣室へ繋がる窓部分。コンクリートの厚さが分かる
入口を入ってすぐの部屋。左側の部屋が見え、更に奥に部屋がある様に見える。近年補修されている様に見えるが、今回は立ち入れなかった
呉地方総監部第一庁舎と、地下に張り巡らされた地下通路、地下壕の模型
この部屋については特に触れられなかったが、床面に機械の基礎の跡のようなものがあります
大階段の隣に地下壕入口がある
呉地方総監部 wide

⚓ 敷地内のその他の見どころ

地下施設入口の隣には、「大階段」があります。この階段は、明治天皇のために造られた階段だそうですが、明治天皇はスロープを馬車で上がられ、実際には使われなかったそうです。
地下壕見学後、この大階段を上りました。
大階段の左手には慰霊碑があります。

大階段
慰霊碑
呉地方総監部 ⑰
呉地方総監部第一庁舎の海側エントランス前にある、地下通路入口。ここから地下壕へ地下通路が繋がっている

最終訪問日:2024.06.15.

海上自衛隊呉地方総監部 アクセス

 名称 海上自衛隊呉地方総監部 
 住所 広島県呉市幸町8-1  
 TEL 0823-22-5511 
 URL   https://www.mod.go.jp/msdf/kure/ 

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